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【旅行記】時差ボケのナイトメア
時差ボケが敵とは気がつかず
 あこがれのイギリスとフランスに行ってきました〜!! 楽しかったよう。うるうる。
 あちらの国の風景がどんなにキレイだったとか、どんな異国情緒にあふれていたとか、うまく言葉にできません。趣味とはいえ物書きやってるくせにそれでいいのか? と思ったりはするんですが。

 観光コースはロンドン&ストラトフォード・アポン・エイボン(シェイクスピアの故郷)&パリでございますのよ、おほほほほ。
 一緒に行ってくださったのは英国留学経験者の桐葉さんと、フランス在住経験者の姫さんです。地図音痴&時差ボケ於來おきがボーッとしているあいだに、地図を広 げていろいろ調べてくださいまして、おかげでなんの憂いもなく無事に回ることができました。←ほんとに最後までなんにもしなかった奴
 特に今回は、姫さんの英語&フランス語なしにはあり得ませんでしたよ。ガイド&通訳ありがとうございます〜!


 ロンドンでは超超超超あこがれのベイカー街でシャーロック・ホームズ博物館に行って、ドクター・ワトソン(人間)やモリアーティ教授(蝋人形)と一緒に 写真をとってきました。かの有名なシドニー・パジェットの挿絵そっくりな人形の数々に感動しておりましたら、桐葉さんが突然、ミルバートンを撃ち殺そうと している貴婦人(匿名希望)のまえで、
「撃たないでくれ!」
 というポーズをとりまして、シャッターを切って欲しいと言うじゃあありませんか。できた写真は爆笑物です。

 それを皮切りにいいトシこいた女三人、周囲の観光客の視線を避けつつ『唇のねじれた男』ことセントクレア氏と一緒に物乞いをしたり、プレンダギャストと 牢屋ごしに愛を語らったりと、恥ずかしいスナップ・ショットを連発。その勢いでマダム・タッソー蝋人形館(有名人そっくりの蝋人形がたくさんあるところ) へなだれ込み、アドルフ・ヒトラーやマリリン・モンロー、ヘンリー八世などと記念撮影に燃えまくって、なにやら異常な熱気でした。



 あしたはロンドン塔だーーー!! と思って寝入りましたら、妙てけりんな夢を見ました。
 夢の中のロンドン塔は、石のらせん階段をぐるぐる登って、てっぺんへたどりつくことになっています。
 えっちらおっちら息を切らして登っておりましたら、上の方から重たい金属の音がガチャガチャと響いてきました。
 おや? なんの音ですか。
 不思議に思って見あげると、鉄のよろいを着て階段登りをしている、奇特きとくなおっちゃんが一人。かぶとはつけていませんが、鎖帷子くさりかたびらのようなもので首を防護しています。顔は悪くないけど、典型的なヤサ男。こんな重労働には向きません。変わった人だなあ。
 思わず、
「そんなカッコで大変ですねえ」
 と声をかけたら、返った答えが、
「Oh,なんとかかんとか、ペラペーラ!」
 ……英語がさっぱり分からないんでやんの。どうせ夢なんだから日本語しゃべってよ。(^ ^;

 両手で壁にすがって一歩一歩あえぐ彼を追い越してから、ようやく気がつきましたよ。
「あっ、あれがうわさに高いロンドン塔の幽霊か!」
 全っ然コワくなかったので、すぐには分かりませんでした。


 ――てな夢にうなされた翌朝、よっこらしょと起きあがりましたら、姫さんと桐葉さんがこっちを見ながらくすくす笑っておりました。
「ね、於來おきさん。ゆうべ寝ぼけてなかった?」
「え?」
「夜中にいきなりガバッと起きあがったの、覚えてない?」
 えええええ!?
「どうしたのって聞いたら、『この人たちは誰?』って顔でこっちを見てたのよ」
「嘘っ……」
 そんなことしてないよー!!
「それでいきなりトレーナーを着こみはじめたから、
『寒いんじゃないの? ベッドカバーの下じゃなくて、ちゃんと毛布の下に寝たら?』
 って言って毛布めくってあげたら、うつろな目つきでもぐりこんで、またコテッと寝たんだよねー!」
「ううううう、嘘ですよ、そんなっ!!」
 だってほらっ、わたし今、トレーナーなんか着ていないでしょ……と言いかけてから、急に思い出しました。
 そういやあのあと、暑さのあまり目を覚ましたような気がします。なんでこんなに暑いんだろー、って思いながら起きあがったら、なぜかトレーナーを着ていました。
 だから脱ぎました。

 神さま、お願いだから嘘だと言ってください!
 確かにわたし、子供のころには寝とぼけるクセがありました。親がよく言ってましたよ。
「おまえは夜中に起きあがって、布団のまわりをまわってた」
 とか、
「二段ベッドの上から布団にくるまったままドカーンと落ちてきて、びっくりして見てたら、布団かついでハシゴを登っていった」
 とか。
 だけどそういうのって、ふつうは子供のころだけですよね!?
 大人になってからやったりしませんよね?
 どうか夢だと言ってください!(涙)
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Copyright © Misato Oki(text) , Nekoyashiki(picture) -2005.09.26