my season is・・・

La Esperancaの九条忍さんより3X歳の誕生祝いにいただきました



雪がゆるやかに溶けた商店街を
駆け抜けるのが好きだった
一番だよと先頭に
自分の足跡を残すのが好きだった
キラキラと輝いて流れる風に
押された背中が好きだった



白みはじめた空に傾けた傘の隙間から
霞む街を見るのが好きだった
真っ青な空で腕っ節の強い入道雲に
大声で呼びかけるのが好きだった
指先に集う火垂(ほたる)の光を
胸に抱き止めるのが好きだった



木陰をほの紅く染めた絨毯を
踏みしだく音が好きだった
眠る前の樹の薫りが
鼻をくすぐるのが好きだった
降り注ぐ薄っぺらな陽光(ひかり)に
そっと手を振るのが好きだった



天から舞い降りる清らかな結晶を
両手に受けるのが好きだった
路地を力一杯に吹き抜ける風が
気まぐれに戸口を叩くのが好きだった
白い大地に黄緑色の絵の具を広げる
草の芽を待つことが好きだった


彼女は眠ったまま
今日もずっと眠ったまま
明けることのない夢に季節は流されていく
まどろみながら移ろっていく
だけど彼女はいない
不思議色に寄り添った僕だけのキャンバスに
僕が描いた夢色の風景に
彼女の姿だけが映らない

彼女のいない枯れた世界で
時は軋みをあげて凍っていく

(壁紙:輝石工房 秋穂さん)

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